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日本の歩き方○さだまさし

さだまさし特別インタビュー

毎年ニューアルバムを発表し、全国コンサートツアーを続ける、さだまさし。1976年のソロデビュー以来、通算コンサートは3850回を数え(2011年7月6日現在)、“コンサート開催数日本一”という不滅の記録は、「国内をいちばん歩き、日本を知っている」アーチストという事実を語っている。この日のインタビューもコンサート会場の千葉県松戸市(松戸・森のホール21)にて行われた。

さださんはコンサートツアーで毎年全国を廻っていますので、アーチスト活動の中で「旅」が切り離せない存在ですね。
まず、さださんご自身の “日本の旅”とのお付き合いを聞かせてください。

質問アイコン width= 僕にとって、旅は生活そのものだよね。東京での、アルバムとかコンサートの制作時期は休みがほとんどないのね。全国でのコンサートツアーが始まって、ようやくOFFの日ができるわけ。たとえば、大分で歌って、次は福岡に行く…その移動日があるでしょ。でも、大分・福岡間は2時間足らずで移動できるから、丸一日お休みがあるようなもの。昔はコンサートが終わった後なんかに行きつけの店で飲んだりしてたけど、小説を書くようになってからはそれがなくなりましたね。コンサートが終わる、コンビニでちょっとお腹が空いたときの食べ物なんかを買う、ホテルに戻る、パソコンを開いて原稿を書く…で、くたびれ果てたらそのまま寝るというスタイル。
若い頃にこれだけ全国を旅するとは思ってなかったけど、僕は中学から故郷の長崎を離れて東京で一人暮らしをしていたから、東京・長崎間はしょっちゅう往復してました。それで、高校時代に途中の都市や街は、だいたい歩いてはいたんですよ。急行券はパーになるけど、乗車券は1週間くらい途中下車できたので、あっち寄りこっち寄りしながら、ね。誰かの本に「故郷に帰る人を旅人とは呼ばない」ってフレーズがあって、「ああ、そうなのかなぁ」なんて思ったけど、僕は旅人だったな。長崎から都会に出てくるときは寄り道をしなかったけど、帰るときには「早く帰りたい」っていう自分の気持ちを焦らすようにあっちこっちを歩いていました。

“仕事=旅”だと、見知らぬ誰かと出会ったり、風景をゆっくり見たり、その土地・その地方の観光地をなかなか楽しめないのでは?

質問アイコン width= さださん画像 width=そう、こういう仕事をしていると、仕事以外にその街を歩けない悔しさがあって、「あ、ここいいな」と思ったら、たまの休みを使って改めて訪れることをしていますね。たとえば、十津川村なんかがそう。十津川との出逢いは、阪神淡路大震災で、僕らが震災孤児を救うお手伝いをしたときに村の人たちが材木をプレゼントしてくれたのね。僕にとっては、十津川って最後の秘境みたいな存在で、実際に行ってみたら、本当にいいところで…もう繰り返し行ってます。
それから、まったく仕事から離れて、中学・高校時代の気の置けない仲間を誘って、年に1回“夜桜大学院”なんて名前のツアーをやってます。中型バスを一台借りて、僕がすべてのスケジュールを書いて、団体で旅に出るの。「めったに見られないものを見よう」って目的で。長年培ってきた人脈で、一人のお坊さんに頼むとその隣のお寺と連絡を取り合ってくれ、拝観の手配をしてくれる。先々4軒くらいのお坊さんが僕らを迎えに来てくれるわけ。ひとつのお寺を出たら、次のお坊さんが待っている…こういうのを数珠繋ぎって言うんだね(笑)。

さださんが20代や30代のときとは、旅の楽しみ方は変わりましたか?

質問アイコン width= 日本という国の…この国の風土の良さに目覚めてきました。日本の風土や文化の魅力を多く感じるようになりましたね。年を取ると、昔は出入りしなかったところに行きたくなったり、行けるようになる。決して若者が行かないような場所にね。どこかに行っても「行った」という事実だけなら意味がないと思うんですよ。若いときはそれが多い。たとえば、春日大社の本殿のすぐそばまで行って、係の方に案内されると、それがどれだけすごいことか分かるようになる。「ああ、たいへんなところに自分はいるんだな、ありがたいなぁ」と思えるようになった。感謝もするから余計にその事実を咀嚼しようとしますね。その旅、その経験を自分のものにしようとして。
だから、旅というのは、僕にとっては食事と一緒。「旅をすること」は、音楽にせよ何にせよ、創作をする自分にとっての栄養摂取ですね。

“旅”の持つ意味、人が“旅をする”理由を、さださんはどう考えていますか?

質問アイコン width= どんな健康な人でも、生きていて、どうしようもない絶望感ややる気の無さに苛まれることもあるでしょう。そういうときは、「心が動いていない」んだよね。心が動かないから、落ち込んだり、やる気がなくなったりしてしまう。そんなときは、思い切り無茶なことをやってみるのもひとつの方法。自分の人生にとって有り得ないことをしてみるのは、心が動くひとつのきっかけになる。僕はときどき、煮詰まったときに無茶なことをしますよ(笑)。
それで、実は、「心を動かす」ためにいちばんいいのが「旅」なんですよ。とにかく、歩いてごらん、ですよ。ひとりで歩いてごらん。自分の心が動かなくて本当にやる気がなくて困っている人は、僕は四国八十八箇所を歩くことをお勧めします。バスに乗ったり、タクシーを使ったりしないで、八十八箇所歩いてみるのはどう?歩いてみたら人生変わるよ。まず、人と出会うし、話しかけられるし、最初は会話するのが億劫かもしれないけど、話しかけられたことに応えるだけで自分の中のタガが外れるかもしれない。なんでこんなことをしてるんだろう?って思っても、八十八箇所を廻るっていう目的があるから、迷うことはない。旅の中では親切な人にも出会うだろうし、嫌な人も目にするだろうけど、煮詰まった環境を建て直すきっかけにはなるよ。
僕が歌っているのも、自分の「人生の歩き方」ってやつでね。じゃあ、僕はその人生の歩き方をどうやって学んだのかっていうと、旅なんです。旅をすることと人生を歩くことは、僕はイコールだと思う。いろんな旅をしてみるといいよ。思いがけない旅をしてみるといい。旅慣れていない人がいきなり海外に行くのは危険かもしれないけど、日本で安全なところはいくらでもあるからね。


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さだまさし Masashi SADA

1952年、長崎県長崎市生まれ。
73年、フォークデュオ ・グレープで歌手デビュー。76年に ソロになり、「関白宣言」「秋桜」「防人の詩」などの数々
のヒット曲を生み出す。01年には、小説 家として「精霊流し」を発表。ベストセラーとなり、以降、「眉山」など、映画
化とともに多くの小説を世に送り出している。全国でのコンサートの活動は、通算3850回(2011年7月6日現在)
を数え、楽曲数は500を超え、オリジナルアルバムも「Sada City」が通算40作目(グレープ時代含む)となる。
「もう愛の唄なんて詠えない」(ダイヤモンド社刊)など、著書多数。現在、「テレビ ・ステーション」などで連載執筆中。
小説「アントキノイノチ」(幻冬舎文庫)8月4日発売。映画「アントキノイノチーあの時の命ー」11月公開予定。
公式サイト http://www.sada.co.jp

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ニューアルバム
「Sada City」

さだまさし通算40枚目のオリジナルアルバム。 NHK総合「今夜も生でさだまさし」オープニング・テーマ曲「桜の樹の下で」、
テレビ東京系「石川遼スペシャル RESPECT ~ゴルフを愛する人々へ~」挿入歌「強い夢は叶う~RYO National Golf Club~」収録。
全11曲。3300円。 発売/ユーキャン 販売/ユニバーサル ミュージック合同会社
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